2005年が334日過ぎた日、お気に入りのMTBに乗って自宅を出た。行き先は決めていない。バッグの中にあるのは、青い表紙の小さなスケッチブック1冊と、息子が小学生のときに使っていた水彩絵の具セット。ペダルをこぐたびに、水入れと筆がカバンのなかであたり「コトコトコト…」と繊細なサウンドを奏でる。乾燥した都会の秋の朝をそんな音がゆるませてくれる。
8時30分過ぎ、渋谷区にある鍋島松濤公園へ。かつて佐賀藩主が茶園として使っていたという公園には小さな池があり、畔には紅く染まったイロハモミジが朝陽に輝いていた。そこで、1枚。小さめのイロハモミジの葉を拾い、スケッチブックに挟んだ。
黄檗(きはだ)色に染まったNHK横のイチョウ並木から表参道へ。サクサクという落ち葉を踏みしめる音が静かな朝の都市にしっとり響く。表参道のケヤキは、茶色く焦げたイメージ。スケッチブックに挟むには葉が大きすぎるのであきらめた。 |
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