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日本食の王道である白飯から逃げていては、日本百名飯は語れない。 それも、ご飯をダッチオーブンで焚いているようではだめだ。ダッチオーブンを使うと、熱が鍋の内にまんべんなくまわり、炊飯は意外と簡単にできる。やはりふつうのコッフェルと、いや安物のコッフェルと焚き火でうまいご飯を炊いてこそ、百名飯を語ることができるのだ。 そこで、今回は薄いアルミのコッフェルで白いご飯に挑戦である。
ただし、僕がやると百回ぐらい失敗して日本百迷惑となってしまいそうだから、野外料理人の鈴木アキラさんに指南役をお願いすることにした。 アキラシェフは、数々の野外料理本を書いているほどの人で、おいしいものを食べたくなったときには、僕は彼を呼ぶようにしている。迷惑も顧みず。 この百名飯シリーズでも、何度かお世話になっている。勝手にアキラシェフの得意料理をさも僕が考えたかのように書いたものもある。 では、おいしいごはんの炊き方を。 |
まずは、薪集めである。なるべく太い広葉樹の薪を集めることだ。ぱっと燃えてしまうような細い薪ではなく、じっくり燃え、長持ちする“おき”のできる木がいい。 そうした薪をどんどん燃やして、それからお米を洗ったりの準備を始めよう。
多くの人が気にするのは、水の量である。 しかし、これはそれほど神経質になる必要はない。人差し指の第一関節、あるいは手の甲が沈むか沈まないくらいが、基本だ。ところが、人によって指の長さや手のひらの厚さは違う。それでもこの法則は、万人に通用するのだ。ということは、だいたいでだいじょうぶなのだ。きっと。 それよりも、火にかけたときなるべく水平を保つこと。そして、ふたの上に石を置くこと。こっちのほうが重要だ。 コッフェル鍋を火の上に置いたら、すばやく人差し指で各所の水深を測る。これで鍋の水平を見るのだ。水平に保つのは、鍋のなかのご飯がむらなく炊けるようにだ。 そして石を置くことで、鍋内部の圧力が高くなる。簡易圧力鍋、というわけだ。 |
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火力は、鍋のなかが沸騰するまでは、強火でもだいじょうぶ。 沸騰し噴きこぼれはじめたら、燃えている薪は鍋の下から外し、おきだけで焚くようにする。ここからの火加減は大事である。いい加減に暮らしてもなんとかなるが、この先の火加減をないがしろにするとあとで痛い目にあう。 とはいっても、弱火にしてじっとがまんすればいいだけのことだが……。 焚き火の上に手のひらをかざし、3秒ほどがまんできるぐらいの火力がちょうどいい。 火力調節には、焚き火の大きさを変える方法と、鍋と火の距離を変える方法とがある。楽なのは、自在鉤などを使って火との距離を変える方法だ。が、どうせなら焚き火をいじって火力調節ができる男(女も!)を目指そうではないか。 |
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あとは水分がなくなるまでこの火力を保ち、ご飯がこげる寸前に鍋を火からはなすことだ。こげが好きな人は、こげの匂いがしてきてからでもだいじょうぶ。 噴きこぼれを見る、鍋の振動を感じる、音を聞く、匂いをかぎ、味を想像する。焚き火でご飯を炊くのは、五感フル活用の行為である。
水分がなくなったら、最後の蒸らし、である。 寒いときや風の強いときには、なるべく鍋が冷えないようにすることが大事だ。毛布を使ってくるんだり、焚き火のそばに置いてこまめに鍋の向きをかえてやることだ。 安物のコッフェルを使って焚き火でご飯がうまく炊けたなら、みんなが一目置く野外料理人となれるぞ。 |
(写真=岡野朋之) Special thanks to 鈴木アキラ |
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