ノロウイルスが猛威をふるっているおかげで、牡蠣が売れないという。
牡蠣のせいにされているのだ。牡蠣業者の人たちも困っているのである。
牡蠣や人が困っているのを黙ってみていられない性格の僕は、さっそく広島の友人に電話をした。お年玉代わりに大量の牡蠣を送ってくれないか、と。
この冬、長野県飯山の古民家暮らしをしているので、新鮮な牡蠣は手に入らない。新鮮じゃない牡蠣でも、車で雪のなかを20分も走らないと買えないのだ。なんたってここは、豪雪地帯関田山脈の山麓の庵である。
そしてある日、クール宅急便が届いたのだ。それは、クールにしなくてもじゅうぶんに寒い日だった。
すると、いつもはだれにも相手にされないこの僕のところに、電話がかかりはじめたのだ。
「レモンを搾って、ずるっと生でいきましょう」
「わたし、囲炉裏を囲んで牡蠣鍋がいいなあ」
「蒸し牡蠣がうまいぞ。蒸すと量もたくさん食えるし」
人間の嗅覚とは、恐ろしいものである。
こうして、ふだんは静かな庵に人が集まり、『がんばれ牡蠣くん』というでっかいパーティがはじまったのだった。
と、カメラマンの岡ちゃん(岡野朋之)が、
「牡蠣ご飯にしましょう。めちゃウマ! ダッチオーブンで作りましょう。でも木造住宅だから、カキ厳禁かな」
などと、いいながらダッチオーブンにお湯を沸かしだしたのだ(さらには撮影もはじめたのだ)。
というわけで、今回は岡ちゃんの得意料理の牡蠣ご飯を『日本百名飯』として紹介してしまおう。 |