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はじめの1時間は、夢中だった。慣れない左ハンドル、右側通行。砂利の道路、まったくやってこない対向車。
やがて広い舗装路(カナダとアラスカを結ぶアラスカン・ハイウェイだ)に入り、対向車が遠くに見えることもあった。人がいる、ということがわかると、落ち着きを取り戻してきた。
しかし、つぎに遠くに見えた対向車が悪かった。なんと、パトカーだったのだ。
その日、僕は日帰りの川下りだったので、パスポートをホワイトホースのホテルに置いてきていた。車を運転する予定もなかったから、国際免許証も持っていない。
頭のなかには、ドラマティックな映画のようなシーンがつぎつぎと浮かんでは消えた。どきどきという僕の動悸は、地平線にまで聞こえるかのような勢いで、車の窓から放たれていたはずだ。足や手は、小さく震えていた。
パトカーとすれ違うとき、お巡りさんと目があった。サングラスの奥から、疑い深い目を僕に向けているのである。
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