僕はうまいものを食うたびに、こんなにうまいものはいままで食ったことがない、と叫んで……。
あれ、どこかで聞いた言葉だな、と思ったら、前々回更新の日本百名飯の出だしの文章と同じであった。
ようするに、ここで紹介する丸々チキンのとろとろ粥も、常軌を逸するほどうまい、ということだ。
この料理をはじめて食べさせてくれたのは、料理のわが指南役である鈴木アキラ・シェフである。
焚き火の宴が夕方からつづいたあるキャンプの夜。
「まだまだ、食えるでしょ」と、アキラ・シェフはダッチオーブンのふたを開けたのだった。
それは、もう3時間ほど前から焚き火のすみっこでとろとろと煮詰められつづけていたダッチオーブンである。だれもがその存在には気がついていたが、中身のことは忘れていた。いつの間にか、焚き火のなかのひとつの風景として、そのダッチオーブンを見ていたのだ。
ふたが開くと、「おおーっ」と歓声が上がった。そこに、よだれの出る光景が広がったのだった。
これが、丸々チキンのとろとろ粥との出会いだった。
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