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日本百名飯011<イカの“わた”詰め丸々焼き>

僕はうまいものを食うたびに、こんなにうまいものはいままで食ったことがない、と叫んできたが、今回もまた狂喜乱舞だったのである。
「イカの“わた”ほどうまいものを食ったことがない!」と。
それは、新鮮なスルメイカが手に入ったある日、わが料理の指南役である鈴木アキラ・シェフが教えてくれたのだった。
というわけで、ここでは僕の得意料理として紹介してしまおう。

まずはわたを抜く。ぷりっとした新鮮なわたが出てきたら、この料理は成功したようなものである

さっそく、作り方である。
まずは、わたを抜く。
(“わた”詰め丸々焼きなのに、どうしてわたを抜くか、とお思いでしょうが、ま、最後まで読んでください。)
わたを抜くには、相当なコツがいる(というほど大げさではないが……)。
最初に、イカの背中側の細い骨を抜く。そして、甲の内側にひっついているわたを、指を入れそっとはがしていく。ぷちっ、ぷちっ、といった具合に。イカスミ袋を破ってしまうと、すべてがまっ黒になってしまうので注意!
そして、げそごと引っぱるのだが、骨を抜くとき同様、片手はしっかりと爪を立ててイカの端を押さえ、利き手でゆっくりと、しかし力強く引き抜く。
わたを抜いたら、げそとわたを切り離し、目玉や、口、イカスミを取り除く。
わたをふたたび甲のなかへ。そして、日本酒を少々、醤油を少々たらす。
げその硬い吸盤を取り除き、食べやすい大きさに切る。切ったげそでふたをするかのように、げそも甲へ入れる。
甲の口につまようじを突き刺し、中身がこぼれないよう閉じる。
あとは、炭火で焼くだけ(ガスレンジでも魚焼き用の網を使えば、焼ける)。
焼けたら、輪切りにして、かぶりつくのだ。

イカスミを取り除いたわたをふたたび甲に入れ、お酒と醤油を少々。さらに切ったげそを入れる あとは、口をつまようじでふたをして焼くだけ。この日はちょうど手頃な網がなかったので、炭火とアルミホイルを利用した 食べやすい大きさに切って、はい、どうぞ
すると、かおるちゃんも大喜び

イカは、捨てるところがないといわれるほど、ほとんどの部位が料理に使われる。しかも、内臓の一部から液晶画面が作られていた(最近の液晶は、ほとんど科学的に合成されたものを使っているようだ)。
イカのおかげで、われわれは生活をずいぶんと楽しくしてもらっているのだ。イカに感謝しながら頬張りたいものだ。
そして、このイカの“わた”詰め丸々焼きを食べた人のほとんどすべてが、「日本人でよかったねえ。この苦み、うまみは外国人にはわかるまい。日本酒が似合うなあ」と、悶絶するのである。
日本酒もいいが、でもあえて僕は、イカの“わた”詰め丸々焼きには、しゃっきとした辛口の冷えた白ワインをすすめたいのだ。

(写真=岡野朋之)
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