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アルコールストーブで、ゆるい時間を過ごす

「そんなに急がんでええんとちゃうやろか」という古い広告コピーを思い出すようなストーブがある。トランギア(※1)のアルコールストーブだ(アルコールバーナー、と呼ぶことも)。
これは、50年以上も使われつづけているスウェーデン製のロングセラー・ストーブである。

アルコールストーブは、ガソリンやガスストーブとは比べるまでもなく火力が弱いのは明らかだ。しかも、音が静かだから(燃焼音はない、といってもいいほどだ)、力強さをまったく感じない。

しかし、このストーブの最大の魅力は、そこなのだ。静かにゆっくりをお湯を沸かしてくれるところじゃないか、と思うのだ。
ふたりでのキャンプの夜。眠る前に温かい飲み物を、と思ったときにほしいのはゆったりと静かに流れる時間だ。朝も、同様だ。朝日が昇るその光の角度でみるみる変わっていく景色を楽しみながらコーヒーを淹れるときには、力強さより静けさがほしい。
そんなときにぴったりなのが、このアルコールバーナーである。

いまの時代だからこそ使いたいアルコールストーブ
青白い炎は眺めているだけで時が過ぎていく

火力が弱い、といっても実用性はじゅうぶんにある。
今回、これを書くにあたり実際に実験をしてみたら、500ミリリットルの水が沸騰するまで、静かに待って約5分だった。じゅうぶんではないか。
それに、とろとろ火力は、チーズフォンデュや煮込み、ご飯を炊くのに適している。と、意外や使い途が多い。
また、壊れるということはまずないシンプルな構造である。メインテナンスも必要ない。
さらに、燃料のアルコールはどこででも手に入る(薬局など)。
もちろん、いざというときには、度数の高いアルコール飲料を燃料として使うこともできる(どんなときでも、燃やすより飲むほうがいいと思うが……)。

注意はひとつだけ。静かだし、青白い炎なので、明るい日中には、火がついているかどうかがわからない。そう、うっかりやけどをしてしまうのだ。
本体にアルコール燃料を入れたまま運んでもこぼれることはない。ただ、輸入元のイワタニ・プリムス(※2)では、<燃料は専用の容器に入れて持ち運んでください。トランギア・アルコールバーナーの中に燃料を入れて持ち運びをしないようにしてください。アルコール漏れの恐れがあります。>と表記している。
しかし、ふたのOリング(ゴムパッキン)が劣化していなければ、いままでの僕の経験上ではだいじょうぶである。

以前にここで紹介した、ガソリンストーブのオプティマス123Rスベアや、ガスストーブのジェットボイルとは、対極にある道具である。

TR-B25アルコールバーナーと専用ごとく、それに0.8リットルのソースパン(ナベ)、フライパン、ミニハンドルのセット。ひとり旅、ふたり旅に最適。ごくふつうの味気のないアルミのナベだが、ふたにもなるフライパンに2箇所のへこみがあり、ふたをナベに固定してくれる。圧力鍋、とまではいかないが、ご飯を炊くときに重宝する。また、ナベ底は専用ごとくとぴったり合うわずかな段差がつけられており、ナベがストーブからずれたり滑ったりするる心配がない。小さなことだが、うれしい配慮である。さらには、ブリキのおもちゃのようなナベつかみだが、これが意外と使いやすいのだ
専用ごとくだけの販売もある 火力調節もできる消火用のふた。消火には便利なのだが、火力調節に使うと、消火用として使うときに、熱くて素手ではとても触れない いまはなきメーカー、ハロマークデザイン『アリゾナストーブ』は、軽量・コンパクトな究極のごとくである
(※1)『トランギア』 http://www.trangia.se/
(※2)『イワタニ・プリムス』 http://www.iwatani-primus.co.jp/index.html
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