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プレヒートに無数の極意がある小型ガソリンストーブ
小型のストーブは、キャンプの自由を約束してくれる。
キャンプといえば焚き火、という考え方もあるにはある。焚き火の楽しみと実用性は否定しない。焚き火はいまもキャンプのシンボルであり、野生に戻る手助けをしてくれる。
しかし、焚き火ができない状況というのは、ついて回る。そうしたときに、小型のストーブはありがたい。地面にはいっさい迷惑をかけない。微生物にさえ影響を与えない。灰も残さなければ跡も残さない。小型ストーブは、焚き火のために制限されるキャンプサイトの制約を、払いのけることができるのだ。
オプティマス123R スベア 14,175円 (税込/本体価格13,500円)
オプティマス123Rスベアという小型のガソリンストーブがある(※1)。100 年以上にわたり生産されている小型ガソリンストーブの代名詞的存在で、バックパッカーの象徴的道具でもある。スウェーデン製だ。スベアというのは、古い言葉でスウェーデンの意味らしい。製品名に国の名前をつけるほどの自信作なのである。
世界中で持っている人は多く、また、その倍以上の人が買ってみようかな、と思っているはずだ。
なんでも、めちゃくちゃくわしい人が、このストーブを見ると、何年モデルかがわかるらしい。刻印の位置やちょっとした改良点がそのヒントだそうな。
そうしたマニアックさは持ち合わせていないが、ぼくもまたこのストーブを愛用している。
シンプルな構造(※2)は故障知らずで、ソリッドブラスの本体は使い込むほどに独特の風合いを増す。
いまではガスストーブを使うことも多いが、きれいに並んだ炎に、軍隊の行進を思い浮かべてしまい、いやになることがある。
そして、このスベアに限らず、ガソリンストーブのいいところは、火が安定するまでに時間がかかるというところである。これは短所ではない。長所なのだ。
余熱カップにガソリンをほんの少量垂らし、着火する。その少量というあいまいな量が問題なのだ。気温や標高によってわずかずつ違ってくる。ティッシュなど確実に燃えきるゴミを併用することもある。このガソリンストーブのプレヒートこそが、一日の終わりに向かっていく瞬間なのだ。
思い描いたタイミングどおりにプレヒートが終わり、炎が安定する。この一連の作業は、儀式のようなものだ。そして、そこにはバックパッカーの誇りと見栄と極意がある。
炎が安定しても、ガソリンストーブの音は安定しない。バッバッバッバッバッバッ、と音と火が躍動する。こうしてキャンプの夜が暮れていくのだ。

いまでもときどき、僕は、このストーブを使いたいがためだけに、出かけたくなることがある。
この火力調節レバーは、メインテナンスキーでもある。これ1本で、このストーブが分解できる
(※1)『スウェーデンのオプティマスサイト』 http://www.optimus.se/
(※2)『スベアの構造イラスト(スウェーデンサイト)』 http://www.optimus.se/img/product/pdf/sveaschematic.pdf
(※3)『スター商事』 http://www.star-corp.co.jp/
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