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もういちどキャンプ
キャンプ達人マニュアル
宿に泊まっちゃいけない、なんてことはない
前回と今回更新の「おとなのずる休み」では、山小屋に泊まり雪のバックカントリーへ浸透していく、という話を書いた。山小屋泊まりというのは、非常に魅力ある旅の方法のひとつである。
厳密にいえばキャンプではないかもしれないが、山小屋泊を「もういちどキャンプ」のここに取り上げてもいいと思うのだ。
野外旅の上で、宿に泊まっちゃいけない、なんてことはないのだから。
ハット・トゥ・ハットという旅のスタイルがある。
ハットとは、山小屋のことだ。ようするに山小屋から山小屋へと旅をすすめるスタイルをいう。ヨーロッパやアメリカ、カナダ、それにニュージーランドでは盛んにおこなわれている。スキー旅はもちろん、夏のバックパッキングや自転車旅などにも、よくハット・トゥ・ハットという言葉が出てくる。
とくに冬、雪の季節に山小屋はありがたい。山小屋を利用することで荷物は格段に減る。スキー旅など、荷物を自分で背負って歩く旅にはほんとうに助かる。しかも、管理人のいる山小屋で食事の用意もしてもらえるなら、最高の一夜が過ごせる。

ただし、日本ではまだまだそうした山小屋は少ないし、山小屋と山小屋がうまくつながっていず、ハットからハットへという旅がむずかしいのだ。それは、もともと山小屋を建てるときに、ハット・トゥ・ハットという発想がなかったからだろう。
それに山小屋というと、汚い、飯はまずい、おやじはうるさい、というイメージがある。まったくそのとおりのところもあるが、そうでないところもある。きれいな山小屋もあれば、いいおやじのところもある。
また、避難小屋と呼ばれる無人の小屋もある。
これが寝袋のグレードを知ることのできる数字。写真は、ザ・ノース・フェイス(※)HIGHTAIL900(¥50,400)。摂氏マイナス10度対応で、900フィルパワーのダウンを使用している カナディアン・ロッキーのワプタ氷河にある大きなハット。キッチンには薪ストーブもあり、快適。こんな山小屋が日本にもあればいいが(写真=佐藤雅彦)
ニュージーランド南島のバックカントリーにたたずむ小さな無人のハット。すきま風は入るが、屋根はしっかりしている。薪ストーブがあり、作りつけのベッドがあった。完璧である 日本にも、スキーでのハット・トゥ・ハット旅に向いたいくつかの場所はある。
たとえば、秋田県と岩手県にまたがる八幡平一帯では、避難小屋と呼ばれる無人の小屋がいくつかあり北から南へと稜線を小屋から小屋へ縦走できる。
ほかにもやはり東北の飯豊山系、北アルプスの白馬岳周辺、立山から上高地などのルートなどだ。
しかし、これらは多くが無人の小屋を利用するのと、1日の移動距離が長かったりと、どうしても経験を積んだ人向きなのである。

そこで、日本ならではのハット・トゥ・ハット旅を考えてみた。
それは、山小屋を拡大解釈して、民宿や温泉宿までをハットと考えるのだ。そうすると、旅の行動範囲がぐっと広がる。
ひとつの温泉宿に滞在して遊ぶのではない。朝、その宿を出たら、山を越えて向こう側の宿をめざすのだ。そんなふうに考えながら地図を見ると、いくつものルートが浮かんでくる。
とくに、スキー場が密集している地域がねらい目だ。
民宿から温泉へ。温泉から温泉へ。ハット・トゥ・ハットならぬ、スパ・トゥ・スパ旅である。
そして、日本の山あいには情緒あふれる温泉が多いときているから、いうことなしだ。さらにその宿に、わけありの美人仲居さんでもいると、旅の物語はますますふくらむのだが……。
アメリカのコロラドには、旅をするためのハットが無数にある。スキー、バックパック、MTB旅のための336ページもの分厚いガイドブックがあるぐらいなのだ。『COLORAD HUT TO HUT』(Westcliffe Publishers) 雪に覆われた露天風呂に入り、温泉宿に泊まる。日本ならではのハット・トゥ・ハット旅は、こうでなくっちゃ(写真=佐藤雅彦)
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